金利と株価の関係とは?なぜ金利が上がると株価が下がるのか

金利とは? 株用語

株式市場のニュースでは、「米国の金利が上昇し、株価が下落した」といった報道をよく目にします。
しかし、なぜ金利の上昇が株価に影響を与えるのでしょうか。

金利と株価の関係を理解することで、市場の動向をより深く分析し、適切な投資判断を下すことができます。
本記事では、金利と株価の基本的な関係性、影響を受けやすい銘柄や市場、過去の事例を交えて解説 します。


金利とは?

金利とは、お金を借りた際に発生する利息の割合 です。
例えば、銀行から資金を借りる際に「金利3%」であれば、借りた金額の3%を利息として支払う必要があります。

特に株式市場に影響を与える金利として、以下の2つが重要です。

  1. 政策金利:中央銀行(米国ならFRB、日本なら日銀)が決定する短期金利
  2. 長期金利:10年国債利回りなど、市場で決まる長期的な金利

特に、米国の政策金利(FFレート)や米国10年国債利回り は、世界の株式市場に大きな影響を与えます。


なぜ金利が上がると株価が下がるのか?

金利の仕組み

金利の上昇は、企業の業績や投資家の行動に影響を与え、株価の下落につながる要因となります。
主に以下の3つの理由が考えられます。

1. 企業の資金調達コストが上昇する

企業は、新しい事業を始めたり設備投資をするために、銀行からお金を借りることがあります。
金利が上がると、企業の借入コストが増加し、利益が減少する可能性があります。

  • 金利が低い場合:企業は安いコストで資金を調達できるため、事業拡大が容易になり、株価が上がりやすい。
  • 金利が高い場合:借入コストが増え、設備投資や研究開発が抑制されるため、業績が悪化し、株価が下がりやすい。

特に、成長企業は借入に依存することが多いため、金利上昇の影響を強く受ける傾向があります。


2. 債券の利回りが上昇し、株式市場から資金が流出する

金利が上がると、債券の利回りも上昇します。
投資家は、より安全な資産(債券)で高いリターンを得られるようになるため、株式を売って債券に資金を移す動きが強まります。

  • 金利が低い場合:債券の利回りが低いため、リターンを求めて株式市場に資金が流入しやすい。
  • 金利が高い場合:債券の利回りが魅力的になり、リスクの高い株式よりも債券を選ぶ投資家が増える。

このように、金利の上昇は株式市場から資金が流出する要因 となります。


3. 成長株(ハイテク株)の割高感が強まる

特にハイテク株や成長株(グロース株) は、金利上昇の影響を強く受けやすいです。

成長株の株価は、「将来の利益成長」に対する期待によって高く評価されます。
しかし、金利が上昇すると、将来の利益の価値が相対的に下がる ため、成長株の評価が低くなりやすいのです。

  • 金利が低い場合:将来の成長に期待が持てるため、ハイテク株やグロース株が買われやすい。
  • 金利が高い場合:将来の利益の現在価値が低くなり、株価が割高と判断されやすい。

そのため、NASDAQ(ハイテク株中心の市場)は金利上昇時に大きく下落する傾向があります。


実際の市場の動き(過去の事例)

1. 2020年 コロナショック後の低金利政策 → 株価急騰

新型コロナウイルスの影響で経済が停滞した際、FRB(米連邦準備制度)は政策金利をゼロ%に引き下げ、大規模な金融緩和を実施 しました。
この結果、金利が大幅に低下し、NASDAQ(ハイテク株中心)が急騰 しました。

2. 2022年 FRBの利上げ → 株価急落

インフレが進行したため、FRBは2022年に急速な利上げを実施。
これにより、債券の利回りが上昇し、投資家の資金が株式市場から流出。
特に、成長株(ハイテク株)が大きく下落しました。


金利が下がると株価は上がるのか?

逆に、金利が下がると株価は上がりやすい です。

  • 企業の借入コストが下がり、業績が向上しやすい
  • 債券の利回りが低下するため、投資資金が株式市場に流れやすい
  • 成長株(ハイテク株)が再び評価されやすい

そのため、景気が低迷しているときに中央銀行が金利を引き下げると、株価が上昇しやすい傾向があります。


まとめ:金利と株価の関係を理解し、市場の動きを読む

  • 金利が上昇すると、企業の資金調達コストが増え、株価は下がりやすい
  • 債券の利回りが上昇すると、投資資金が株式市場から流出しやすい
  • 特に成長株(ハイテク株)は金利上昇の影響を強く受ける
  • 逆に、金利が下がると株価は上がりやすい

金利と株価の関係を理解することで、相場の動きを予測し、適切な投資判断をすることが可能になります。
今後の市場動向をチェックする際は、FRBの金融政策や長期金利の動きを注視することが重要です。

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